健康コラム

薬の話 その10

2018年 10月 9日
抗体はウイルスや毒素などの病原体(抗原)の働きを抑えたり(中和作用)、助っ人(補体)と協力して病原菌を殺すとか(殺菌作用)、抗原のありかを食細胞(マクロファージや好中球など)に知らせて捕食を促す(貪食作用)など、免疫機能を担う特殊な蛋白体です。最近は遺伝子組み換え技術の進歩で、様々な抗体が人工的に作られるようになり、「抗体医薬」としてがんや関節リュウマチ、潰瘍性大腸炎や気管支喘息など色んな難病に用いられ、目覚ましい効果を挙げています。
薬の話 その10

一般名で「〇〇マブ」という名が付くこの種の薬は、糖尿病に用いるインスリンや脳梗塞・心筋梗塞で救急薬として使われるt-PA製剤なども含めて、今や50種を超えるほどになっています。しかしこの妙薬にも難点があります。一つは特徴的な副作用で、免疫力を抑える働きで結核などの感染症が起きたり、逆に免疫力を強めすぎてⅠ型糖尿病などの自己免疫疾患を生じることがあるのです。副作用と言っても、免疫機能に影響する薬本来の作用の一面なので、これらの副作用は「免疫再構築症候群」(IRIS)と呼ばれます。生まれつきの素因や免疫機能の状態によって副作用の現れ方が一様でなく、目下、副作用克服のための研究が進められているところす。
もう一つの問題は薬価が非常に高いこと。注射1本が数万円、時には数十万円のもあり、日本全体では何兆円にもなって、保険財政が破綻しかねないとも懸念されています。使うべき時には使うべきですが、使う医師と受ける患者双方が、その値に見合う効果が見込めるかどうか、費用対効果を慎重に見極めることが大切です。