健康コラム

薬の話 その7

2018年 9月 19日
 複数の病気に罹っていて多種類の薬を飲んでいる人は少なくありません。5~6種類以上もの薬を飲むと、薬による色んな有害事象(副作用)が生じやすくなります。多剤併用(ポリファーマシー)と呼ばれる状態です。薬の代謝・排泄機能は齢とともに落ちてくるので、高齢者は特に注意が必要です。
薬の話 その7

 ポリファーマシーに陥る原因の一つに、「処方カスケード」と呼ばれる現象があります。カスケードとは「段々に落ちる滝」という意味合いです。つまり、Aという症状にBという薬を用いたためにCという副作用が起き、これを副作用とは気付かずに病気が悪化したと考えてD薬を追加する、といった薬剤連鎖、つまり薬の段々滝です。
 例えば、食欲不振のお年寄りがスルピリド錠などを飲むと、体のバランスが取りにくくなってふらつくことがあります。これを薬のせいだと思わずに、パーキンソン病だと考えて抗コリン薬を追加すると、その副作用として呆け症状が起き、これを認知症だと捉えて、今度はアルツハイマー病に用いるアリセプト(ドネベジル塩酸塩)錠を、という具合。他にもNSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)のせいで血圧が高くなって降圧薬を飲むとか、利尿薬で痛風が生じたので抗尿酸薬を飲んだ、などの例も多くあります。

 このような「屋上屋を重ねる」悪循環を避けるには、症状の原因は薬ではないか、と疑うこと。薬を服用した前後の症状の変化に注意し、もしあればそれを医師にきちんと伝えることが大切です。病気の治療は医師と患者の協力作業です。