健康コラム

薬の話 その4

2018年 8月 20日
「取り敢えず家に置いてあった薬を飲みました」など、いい加減な薬の使い方をする人がいます。特に問題は抗菌薬の不適切な使用です。急性気管支炎に罹った人3人に2人以上が抗菌薬を飲んでいたとの調査もあります。この病気の9割以上はウイルス性で、肺炎にならない限り抗菌薬は無効です。ノドが腫れて痛む咽頭炎も8割以上はウイルス性で、A型β溶血性レンサ球菌咽頭炎以外、抗菌薬は効きません。
薬の話 その4

広域抗菌スペクトラムの(つまり多種類の細菌に効く)セファロスポリン系やマクロライド系の薬を頻繁に用いると、多剤耐性の(即ち多くの抗菌剤が無効な)肺炎球菌などの感染症のリスクが高まります。黄色ブドウ球菌はありふれた細菌ですが、その中で多くの抗菌薬が無効なMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の割合は約50%にもなるそうです。抗菌薬の不適切な使用が原因です。抵抗力が弱い老人や小児、手術後の患者などがこれに感染すると、重症化して死亡することも少なくありません 
昨年1月、世界中の医師を震撼させたニュースがCDC(米国疾病予防センター)から発表されました。その前年にネバダ州で死亡した70歳代女性の死因が、米国で利用可能な抗菌薬26種がすべて無効な“スーパー耐性菌”だったというのです。この菌が拡がれば? 考えるだけでも恐ろしいことです。現在問題となっている耐性菌に効く抗菌薬は、まだほとんどありません。有効な新薬を開発するには何年もかかり、細菌が薬剤耐性を獲得するのにはそれほど時間がかからないのです。