健康コラム

薬の話 その3

2018年 8月 2日
誰もが一度ならず罹る病気は何と言っても風邪でしょう。そのほとんどの原因はウイルスです。ウイルスは細菌ではないので、細菌を殺したり増殖を抑える抗菌薬は効きません。だから風邪薬には抗菌薬は含まれていません。風邪薬は風邪ウイルスを殺したり抑えたりするのではなく、ウイルスと闘う体の反応として起きる発熱や鼻詰まり、ノドの痛みや咳などの風邪症状を和らげるための薬です。今のところ風邪ウイルスを殺したり抑えたりする薬はありません。抑えるのは私たちの体に備わった防御力、つまり免疫力です。
多くの医師はこのことを十分知っています。しかし風邪を引いても「無理しても出勤しなければ・・・」と言う勤め人は多いですし、風邪引きの我が子を連れて来たお母さんの中には、「この子には抗菌薬が効くんです。飲ませるといつも効きましたから」と強く処方を求める人もいます。「別の先生は薬を出してくれたのに」とか、「薬をもらえないなら別の病院に行きます」と、捨て台詞とともに、気まずい思いを残す人もいます。
薬の話 その3

医師も看護師も、最近は患者を「○○様」と呼び習わすほど「患者様第一」ですから、患者の不興を買わないよう、或いは忙しくて患者とじっくり話し合う時間が取れないため、やむを得ず抗菌薬を処方する医師もいないではありません。国立国際医療研究センターの調査では、ウイルスに抗菌薬が効くと思っている人が調査対象の半数近くに上がり、約2割の人は、「風邪で受診したら必ず抗菌薬を処方して欲しい」と考えているということです。
 
こうした誤った意識が無駄な抗菌薬処方に繋がり、抗菌薬が効かない耐性菌を増やす結果、将来に禍根を残しかねないことを、多くの人にぜひ気付いて欲しいと願っています。