健康コラム

「睡眠時無呼吸症候群」その1

2019年 2月 7日
滋賀医科大学睡眠行動医学講座 鷹見将規 先生

2003年2月に山陽新幹線運転士の居眠り運転のニュースが大々的に報じられたことで、「睡眠時無呼吸症候群」という睡眠障害が広く周知されるようになりました。運転士は約8分間居眠りしてしまったものの、ATC(自動列車制御装置)の動作により自動停止したため、重大な事故につながることはありませんでした。後に、運転士は睡眠検査で睡眠時無呼吸症候群と判明したことが報じられました。
その後も、飛行機 (※1)、貨物船(※2)の居眠り操縦もニュースになりましたが、いずれも原因は睡眠時無呼吸症候群であったと報じられました。

「睡眠時無呼吸症候群」その1

睡眠時無呼吸症候群は、主に上気道閉塞が原因で睡眠中に無呼吸や低呼吸が繰り返し生じることで、睡眠の質が障害されます。そのため上記のニュースにあるような日中の過剰な眠気・居眠りなどが問題となり、他にも熟眠感欠如、倦怠感、起床時口渇、夜間頻尿など様々な症状を呈することで、生活の質(QOL:quality of life)を低下させます。
睡眠時無呼吸症候群は過剰な眠気などの原因となるのみならず、高血圧、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、がんなど身体疾患との関連が知られています。特に心血管疾患では高率に睡眠時無呼吸症候群を合併しますが、例えば、高血圧の患者さんでは、30%程度で睡眠時無呼吸症候群を合併しているという報告もあります。特に高血圧に対する薬物療法でなかなか改善が得られない場合は、睡眠時無呼吸症候群が高血圧の原因となっている可能性について検査で評価することが望ましいとされています。
なお、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」ではなく、「睡眠呼吸障害(SDB)」「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」などの用語が用いられることはありますが、ほぼ同義です。今回のコラムでは一般に広く浸透している「睡眠時無呼吸症候群」で統一します。

※1 2004年3月 ANA機長が操縦中に居眠り
※2 2004年9月 貨物船の船長が居眠り、コンクリート製護岸に乗り上げて、住宅と空き家が全壊