健康コラム

「睡眠不足」その2

2019年 1月 16日
滋賀医科大学睡眠行動医学講座 鷹見将規 先生

日本の勤労世代では他国と比較して睡眠不足傾向が示されていますが、睡眠不足によってどのような不都合がでてくるのでしょうか?
睡眠不足によって日中のパフォーマンス低下をきたすことについて様々な報告があります。そのなかでも、睡眠不足と飲酒によるパフォーマンス低下の程度を比較した報告(Dawsonら、1997年)が特に知られていますが、18時間覚醒を継続した状態は、アルコール血中濃度0.05%と同等のパフォーマンス低下を来したと報告されています。アルコール血中濃度0.05%を道路交通法にあてはめると、酒気帯び運転25点の罰則(呼気1Lあたりアルコール0.25mg以上)と同程度になり、睡眠不足は飲酒運転と同等という大変インパクトのある結果になります。このように、睡眠不足によって客観的な認知機能検査で大きくパフォーマンス低下したという報告は多数あり、十分な睡眠時間確保の重要性を示しています。

「睡眠不足」その2

では、睡眠不足による日中のパフォーマンス低下はどれくらいの経済損失となっているのでしょうか?
いくつかの試算がありますが、一例を紹介しますと、対GDP比2.92%(年間約15兆円)の経済損失というデータ(RAND研究所、2016年)もあります。日本の対GDP比2.92%という割合は、アメリカ2.28%、ドイツ1.56%など他国の対GDP比と比較しても、大変大きな割合となっています。

日中にしっかりとパフォーマンスを発揮できるように睡眠をとることは、健康という点のみならず、経済・経営の視点からも重要と言えるかもしれません。仕事・家事・育児など様々な事情から睡眠時間の確保をしていくことは簡単ではないのかもしれませんが、24時間の使い方を見直すことで、体の必要としている睡眠時間を確保できるようにしていきましょう。