健康コラム

  • ペストの記憶

    2021年 3月 22日

    「ロビンソン・クルーソー」の著者、ダニエル・デフォーは1665年、ペスト流行下のロンドンに留まり、「ペストの記憶」を著しています。それによると、市民約46万人の凡そ2割がこの病で亡くなりました。失業者も激増し、ロンドンは将に崩壊の危機でした。
    ところがこの災禍でキリスト教の宗派間の対立が一時収まり、貧困に喘ぐ人々を助けるため、多額の寄付金が市長や各区長に寄せられました。慈善家は個々に多くの金銭的、人道的救援活動を行い、瀕死の都はようやくもちこたえたといいます。

    ペストの記憶
  • 花粉症とコロナ

    2021年 2月 9日

    花粉症の季節です。スギ花粉が飛ぶピークは大阪で3月上旬、東京では同月上旬から下旬にかけてです。日本人の6~7人に1人はスギ花粉症だそうです。今年の花粉の飛散量は例年より少ない見通しですが、今年は油断できません。

    花粉症とコロナ
  • 新型コロナに慣れないで!

    2020年 12月 1日

    今年は阪神大震災から25年の節目の年、そして来年は東日本大震災から10年目、風水害などの災害も日本のどこかで毎年のように起きました。新型コロナウイルス感染症も、わが国で流行し出してから、そろそろ丸1年が経とうとしています。

    新型コロナに慣れないで!
  • 日本人と新型コロナ感染症

    2020年 11月 10日

    わが国の新型コロナウイルス感染者は既に10万人を超えました。大変な数ですが、欧米諸国では人口割合で感染者がわが国より断然多く、医療の場も逼迫していると伝えられます。日本と欧米とで感染者数に大きな差があるのはなぜなのでしょう。

    日本人と新型コロナ感染症
  • 日本の奇跡

    2020年 6月 3日

    非常事態宣言が全国的に解除されました。今のところ日本のコロナ対策は多くの諸外国に比べ奇跡的大成功。海外のメディアは 「なぜ?」と訝っているくらいです。
    日本人はおしなべて教育レベルが高く、理解力・判断力に優れ、規則に従順で忍耐力が強いようです。そのうえ欧米人のように握手の習慣は一般的でなく、アラブ人のように頬を寄せて抱擁するような挨拶もせず、南米人のように手取り肩組んで踊り歌うこともしません。つまり日本人は規律正しく、プロクセミクス(近接許容度)が小さい、つまり人と近付きすぎることを忌避する気持ちが、外国人より強いようです。

  • 細かい気配り、大切です!

    2020年 5月 12日

    アイドリング中の車や単車、数㍍離れていても排気ガスが臭うことってありますね。ジョギング中は息遣いが激しくなり、吐く息のエアロゾル(水蒸気)が排気ガス同様、辺りにしばらく漂います。無症状の感染ジョガーがハァ~ハァ~と吐くエアロゾルに、ウイルスが混じっているかも・・・。ジョガーは多少の息苦しさは我慢して、マスクを着けてゆっくり走るのがエチケットと心得て欲しいですし、後に続く人は10㍍程の距離を置く方が無難です。マスクを着けて無言で歩く人は、ほとんどエアロゾルを吐き出さないので、後に続いて歩いてもすれ違っても、まず感染の心配はご無用です。

    細かい気配り、大切です!
  • 紙を50回折ると、厚さは?

    2020年 4月 28日

    こんな話が某紙のコラムに載っていました。或る数学者が1枚の紙を手に取って人に尋ねます。「紙を2回折ると4倍の厚さになるね。もし50回折ると厚さはどのくらいになると思う?」。 すると相手は「数十センチかな」。傍にいた女性は「いや、ビル並みよ」。どちらもまったく違いました。「太陽まで届くんだ。50回は折れないけどね」。

    紙を50回折ると、厚さは?
  • グリーフケア

    2020年 4月 14日

    ~愛する家族を失った人の悲嘆(グリーフ)をどうケアするか~

  • 新型コロナ肺炎

    2020年 3月 10日

    突然現れたこの病気。人々の健康不安と、経済活動への深刻な影響を引き起こしています。慌てずに、まず一人ひとりが我が身を守る注意を怠らないこと。これがこの病気をくい止める基本です。感染症の専門家は次のように述べています。

    新型コロナ肺炎
  • 腸から始まる身体の調節

    2019年 12月 19日

    立命館大学 スポーツ健康科学部 助教 内田 昌孝 先生

    ホルモンは身体の調節役

    「ホルモン」という言葉は、ニュースなどで聞いたことがあるという方もいらっしゃると思います。ホルモンは、成長や生殖器機能の調節、エネルギー代謝の調節、ストレスに対する防御といった役割を持っています。特に最近では、バセドウ病などのホルモンの異常からくる病気を公表する芸能人のニュースなどを見る機会もあるかと思いますが、ホルモンが必要ないタイミングで異常に作られたり、逆に必要な時に作られなかったりすると内分泌疾患(ホルモンの異常によって起こる病気の総称)を患ってしまいます。そうでなくてもホルモンは日々の私たちの身体の調節を常に行っているので、我々の健康と直結しているのです。典型的なもので紹介すると「インスリン」というホルモンがあります。インスリンは、血液の糖分(血糖値)を下げる働きを持つホルモンです。このホルモンの働きが悪くなり血糖値をコントロールできなくなる病気を糖尿病といいます。血糖は脳のエネルギー源になるため下げ過ぎても上げ過ぎても健康に害が及びます。そうならないために、インスリンは、食事後の血糖値が上がるタイミングで作られて、上がった血糖値を落ち着かせるのです。このようにホルモンが適切なタイミングで作られることで私たちの健康が保たれているのです。

    腸から始まる身体の調節
  • 腸内細菌と血管の健康

    2019年 12月 3日

    立命館大学 スポーツ健康科学部 助教 内田 昌孝 先生

    はじめに
     血管は、全身に血液を送る道路の役割を果たすことで、酸素や栄養素を血液に乗せ、体の隅々まで運んでいる重要な器官であり、血管の健康を保つことは、体全体の健康に繋がります。血管に問題があると血液がうまく流れなくなり、酸素や栄養素を他の臓器に供給できなくなります。血管の異常が心臓や脳で起こると、日本人の死因の約20%以上を占める心筋梗塞や脳梗塞などの疾患(心疾患や脳血管疾患)が引き起こされます。今回のコラムでは、この血管の健康と腸内細菌についてご紹介します。

  • 認知症シリーズ その7

    2019年 11月 15日

     今や誰もが知っているメタボと認知症。この2つの厄介な病気を誘うのはまず運動不足、そして食べ過ぎです。長い進化の歴史の中で、人類は幾度も飢えの危険に曝されました。餓死した人も多かったはずですが、飢えに耐えて生き残った人の遺伝子には、幸い口にした栄養を体内でしっかり蓄え、無駄なく利用して生き延びようとする本能が刻み込まれています。だからこの遺伝子は節約遺伝子とも呼ばれます。

    認知症シリーズ その7
  • 腸内細菌叢と健康

    2019年 10月 31日

    立命館大学 スポーツ健康科学部 助教 内田 昌孝 先生

    はじめに
     以前のコラムで、私たちの隣人である腸内細菌と私たちの身体の間に深い関係があることをご紹介しました。今回は、腸内細菌叢と病気の関係についてご紹介します。病気といっても感染症やメタボリックシンドローム、ガン、心血管疾患(血管や心臓の病気)、アレルギー、高血圧、サルコペニア、精神疾患などと多岐に渡ります。今回のコラムでは、メタボリックシンドロームに注目してご紹介します。

  • 認知症シリーズ その6

    2019年 10月 24日

    認知症、つまり認知機能低下を予防するためには運動が大切だということは、多くの研究から確からしいとされています。しかし運動だけではその効果は弱いようです。運動の効果を高めるため、愛知県大府市にある国立長寿医療研究センターは 「コグニサイズ」 という運動を考案しました。どんなのかというと、歩いたりステップを踏みながら、尻取り遊びや簡単な計算など頭の体操、つまり脳トレ(脳のトレーニング)も同時に行うというもの。

  • 認知症シリーズ その5

    2019年 10月 11日

     認知症の予防に限らず、運動が集中力・記憶力を高め、うつや不安を和らげるなど、脳に良い影響を及ぼすことは、色んな調査・研究で確かめられています。脳と運動との関係に精しいハーバード大のJ. レイテイ准教授は 「運動は他のどんな活動よりも脳を活溌にする。体を動かすと脳の血流が増え、細胞間の情報連絡網が密になる。筋肉と同様に、運動することで脳も萎縮せずに済む」 と明言しています。

  • 身体にとっての小さな隣人

    2019年 9月 30日

    立命館大学 スポーツ健康科学部 助教 内田 昌孝 先生

    皆さんは、一生の中で一番長く連れ添う存在が何かご存知ですか?「自分自身」や「親」、「兄弟」、「家族」と答える方が多いと思いますが、私たちが生まれた瞬間から死ぬその時まで片時も離れることなく私たちを支えてくれている隣人こそが細菌なのです。
    細菌といえば、食中毒や肺炎を起こす原因で、私たちが生活から一番遠ざけようとする存在ですよね。今では、色々な除菌グッズや抗生剤といった薬を使用することで、細菌を遠ざけて感染症を予防したり、治療したりしています。今まで遠ざけようとしていた細菌たちが、生まれてから死ぬまでの間、私たちの人生を支える隣人になるとはどういうことなのか?私が担当するコラムでは、この小さな隣人たちと私たちの身体がどうやって仲良くしているのか、仲が悪くなるとどうなるのか、仲良くなる方法はあるのかといったことをご紹介していきます。

    身体にとっての小さな隣人
  • 認知症シリーズ  その4

    2019年 9月 20日

     体を動かすと何だか頭がスッキリして気分が晴れる、そんな気がしませんか。糖尿病や脂質異常、肥満や高血圧など、生活習慣病を予防したり進行を防いだりするのに、運動が大切だということはご存じのはず。ところが体の健康のためだけではなく、運動は脳の働きも活発にし、認知症予防にも有効だと考えられているのです。

    認知症シリーズ  その4
  • 認知症シリーズ その3

    2019年 9月 7日

    そろそろ高齢期にさしかかると、ボケるのではないかと不安に思う人が多いようです。よく知っている人の名前をふと忘れしたり、つい先ほどどこかに置いたメガネを探し回るとか・・・、そんなことが重なるとなおさら心配になりますね。でもこんな「ど忘れ」は誰にもよくあること。知っていて当然の親しい人を知らない人だと思ったり、メガネをどこかに置いたこと自体を忘れるのでなければ、大丈夫。まだ認知症ではありません。

  • 認知症シリーズ その2

    2019年 8月 1日

     歳を取っても認知症とは無縁で、矍鑠(かくしゃく)としたお年寄りもいますが、一般的には、歳を取るにつれ認知症になる人が増えてきます。高名な学者でも認知症になる人もあるのですから、認知症は加齢現象の一種とも言えるでしょう。
     認知症を治すのは難しいのですが、その手前の軽度認知障害(MCI)の段階で生活習慣を改めるなどすれば、本格的な認知症にならずに済むことも少なくありません。
     だから多くの慢性病と同様、早期発見が非常に大切です。「認知症と家族の会」では、次のような状態に気付けば、専門家に一応相談することを勧めています。

    認知症シリーズ その2
  • 認知症シリーズ その1「はじめに」

    2019年 7月 2日

    この6月18日、政府は新しい認知症対策として「認知症施策推進大綱」を取り纏めました。この大綱の趣旨は、認知症の人たちとの「共生」と認知症の「予防」を2本柱とする施策です。安倍首相は大綱策定にかかわった閣僚会議で、「この施策を速やかに実行に移し、誰もが生涯現役として、幾つになっても活躍できる社会を目指して、全力を尽くしてほしい」と各閣僚に指示しました。 

    認知症シリーズ その1「はじめに」
  • 「睡眠時無呼吸症候群」その3

    2019年 4月 16日

    滋賀医科大学睡眠行動医学講座 鷹見将規 先生

    睡眠時無呼吸症候群の治療はどのようにしていくのでしょうか?

    AHI(無呼吸低呼吸指数) 20以上となる中等症・重症においてはCPAP(持続陽圧呼吸療法)という治療が第一選択となります。鼻マスクを装着して、機械から空気を送り込むことで無呼吸・低呼吸を生じないようする治療法になります。CPAPによって、重症の患者さんでもAHIは正常化することがほとんどであり、睡眠の質も改善することが期待できます。ただ、CPAPは根本的な治療ではなく、装着している日のみ効果を期待できるような対処療法となりますので、毎日継続する必要性があります。

  • 「睡眠時無呼吸症候群」その2

    2019年 3月 4日

    滋賀医科大学睡眠行動医学講座 鷹見将規 先生

    睡眠時無呼吸症候群は日中の眠気など様々な自覚症状を呈して、高血圧など様々な身体疾患のリスクとなることが知られています。
    そこで今回は、睡眠時無呼吸症候群をどうやって診断するのかについてお話いたしましょう。

  • 「睡眠時無呼吸症候群」その1

    2019年 2月 7日

    滋賀医科大学睡眠行動医学講座 鷹見将規 先生

    「睡眠時無呼吸症候群」その1
  • 便失禁

    2019年 2月 1日

    思わずパンツを便で汚して秘かに後始末、といった人は案外多く、全国で推定500万人もが、意思に反して便が漏れる「便失禁」に悩んでいるそうです。これには気付かずに便が漏れる「漏出性」と、便意を我慢できずトイレに間に合わない「切迫性」とがあります。漏出性がほぼ半数、両方ともが3割余り、残りが切迫性という内訳です。

  • 「睡眠不足」その2

    2019年 1月 16日

    滋賀医科大学睡眠行動医学講座 鷹見将規 先生

    日本の勤労世代では他国と比較して睡眠不足傾向が示されていますが、睡眠不足によってどのような不都合がでてくるのでしょうか?
    睡眠不足によって日中のパフォーマンス低下をきたすことについて様々な報告があります。そのなかでも、睡眠不足と飲酒によるパフォーマンス低下の程度を比較した報告(Dawsonら、1997年)が特に知られていますが、18時間覚醒を継続した状態は、アルコール血中濃度0.05%と同等のパフォーマンス低下を来したと報告されています。アルコール血中濃度0.05%を道路交通法にあてはめると、酒気帯び運転25点の罰則(呼気1Lあたりアルコール0.25mg以上)と同程度になり、睡眠不足は飲酒運転と同等という大変インパクトのある結果になります。このように、睡眠不足によって客観的な認知機能検査で大きくパフォーマンス低下したという報告は多数あり、十分な睡眠時間確保の重要性を示しています。

    「睡眠不足」その2
  • 便秘の話 その3

    2019年 1月 9日

    便秘には、便の回数が少なくなったり出にくくなったりする「機能性便秘」と、便を通す腸管が大腸がんなどで狭くなったり塞がったりして起きる「器質性便秘」とがあります。一口に便秘と言っても、そのタイプや原因に合わせて治療する必要があります。
    機能性便秘は、食事の量(特に食物繊維)が少ないため便の量が減って便意を覚えなかったり、便意があっても忙しいなどで我慢したりして起きる習慣性のタイプが多いのですが、ストレスによる便秘型過敏性腸症候群や、高齢者では排便時に腹圧を加える筋肉の量が減ったり、直腸の収縮力が弱まったりして起きることもあります。

    便秘の話 その3
  • 「睡眠不足」その1

    2018年 12月 11日

    滋賀医科大学睡眠行動医学講座 鷹見将規 先生

    「睡眠不足」は勤労世代の睡眠の問題として様々なメディアで取り上げられる機会は多々あるため、日本人は睡眠不足気味ということを耳にした方も多いかもしれません。
    厚生労働省などの調査によると、日本の勤労世代における平均睡眠時間は442分(2016年)となっています。

    「睡眠不足」その1
  • 便秘の話 その2

    2018年 12月 3日

    便秘の話の前に、便の話に続いて「腸活」の話をちょっと。元気に長生きする秘訣の一つは腸内環境を整えること、つまり「腸活」だと言われます。その立役者は乳酸菌やビフィズス菌などの善玉腸内細菌です。滋賀県特産の鮒寿司に棲む乳酸菌L-137はその代表格です。昨年末、滋賀県男性の平均寿命が全国都道府県中でトップだと報じられましたが、これには鮒寿司が一役買っているかも知れません。

    便秘の話 その2
  • 便秘の話 その1

    2018年 11月 16日

    便秘の話の前に、まず便の話から。大腸の中の便には1㌘当り1兆個もの細菌がいて、その種類は500から1,000種にも上ります。健康に役立つ善玉菌もいますし、悪さをする悪玉菌もいます。
    大腸内の環境が乱れると、乳酸菌などの善玉菌による便の発酵は抑えられ、クロストリジウムといった悪玉菌が増えて腐敗が進みます。腐敗物質は腸の壁を通して吸収され、色んな病気を引き起こします。大腸の病気だけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、がん、認知症、アトピーなどの引き金にもなるということも分かっています。
    だから大腸は病気の発信源とも云われ、便の中の細菌の良し悪しが全身の健康状態のバロメータにもなるのです。便には普段あまり関心はない人が多いでしょうが、時にはちょっと注意を向けて頂きたいと思います。

    便秘の話 その1
  • 薬の話 その12

    2018年 10月 24日

    「ジェネリック医薬品」をご存知ですか? 製薬会社が開発した新薬(先発医薬品)は、その会社が特許を取得した後20~25年間、独占的に製造・販売できる決まりです。そしてこの期限が過ぎると、他の会社も新薬と同じ有効成分を使って薬を製造・販売することが認められます。これがジェネリック医薬品(後発医薬品)です。

  • 薬の話 その11

    2018年 10月 17日

    何かの病気で薬を飲んでいる人に、「どんな薬を飲んでいますか」と尋ねてみると、大抵の人は「えーっと」と口ごもって、薬の名前を正しく告げることができません。「お薬手帳」にはちゃんと書いてあるはずなので、いつも飲んでいる薬の名前は覚えておいて欲しいものです。台風や地震などで、かかりつけの病院や薬局が停電とか浸水の被害を受けると、カルテや処方箋で確認できないこともあります。薬の名が分からないと、急場しのぎの薬も手に入らない恐れがあります。

    薬の話 その11
  • 薬の話 その10

    2018年 10月 9日

    抗体はウイルスや毒素などの病原体(抗原)の働きを抑えたり(中和作用)、助っ人(補体)と協力して病原菌を殺すとか(殺菌作用)、抗原のありかを食細胞(マクロファージや好中球など)に知らせて捕食を促す(貪食作用)など、免疫機能を担う特殊な蛋白体です。最近は遺伝子組み換え技術の進歩で、様々な抗体が人工的に作られるようになり、「抗体医薬」としてがんや関節リュウマチ、潰瘍性大腸炎や気管支喘息など色んな難病に用いられ、目覚ましい効果を挙げています。

    薬の話 その10
  • 薬の話 その9

    2018年 10月 4日

     健診などで血液中の脂肪(コレステロールや中性脂肪)の値が高いと言われ、抗脂血薬を飲む中高年の人が多いですね。本来はまず食事の中身を見直して、よく運動もすることが大切ですが、それよりも手っ取り早く薬に頼る人もまた多いようです。大抵は長い間飲み続けることになりますので、副作用にも注意することが必要です。
    高脂血薬には幾つか種類がありますが、一番よく用いられるのがスタチン系、次いでフィブラート系の薬です。これらの薬による副作用はよくあって、ひっくるめて「スタチン関連筋症状」(SAMS)と呼ばれます。

    薬の話 その9
  • 薬の話 その8

    2018年 9月 26日

     以前のこの欄にも記したことですが、ほとんどの薬は体にとって異物です。薬は薬としての作用(薬理作用)がある一方、有害な副作用を併せ持つものだということを、しっかり認識しておくことが大切です。クスリはリスクの裏返しということです。両刃の剣とも言えるでしょう。高齢者では危険な副作用が生じやすく、特に注意が必要です。

    薬の話 その8
  • 薬の話 その7

    2018年 9月 19日

     複数の病気に罹っていて多種類の薬を飲んでいる人は少なくありません。5~6種類以上もの薬を飲むと、薬による色んな有害事象(副作用)が生じやすくなります。多剤併用(ポリファーマシー)と呼ばれる状態です。薬の代謝・排泄機能は齢とともに落ちてくるので、高齢者は特に注意が必要です。

    薬の話 その7
  • 薬の話 その6

    2018年 9月 10日

    薬の使い過ぎで起きる症状の一つに、「薬物乱用頭痛」があります。痛みを抑えるために飲む痛み止めで、却って頭痛の頻度が増えて、痛みが強くなるという皮肉な現象です。薬物乱用頭痛だと知らずに鎮痛薬を飲み続ける人が多いのも問題です。
     

    薬の話 その6
  • 薬の話 その5

    2018年 8月 31日

     抗生物質などの抗菌薬が効かない耐性菌が広がると大変です。耐性菌を生み出さないためには、国民一人ひとりが抗菌薬を適切に使うことが大切です。そのためにするべきことは、当たり前のことなのですが、まず風邪など抗菌薬が効かない感染症に抗菌薬を用いないこと、医師に抗菌薬の処方を強いて求めないこと、そして薬の用量と、服用する時間・回数・期間を、医師の指示通り守ることです。

  • 薬の話 その4

    2018年 8月 20日

    「取り敢えず家に置いてあった薬を飲みました」など、いい加減な薬の使い方をする人がいます。特に問題は抗菌薬の不適切な使用です。急性気管支炎に罹った人3人に2人以上が抗菌薬を飲んでいたとの調査もあります。この病気の9割以上はウイルス性で、肺炎にならない限り抗菌薬は無効です。ノドが腫れて痛む咽頭炎も8割以上はウイルス性で、A型β溶血性レンサ球菌咽頭炎以外、抗菌薬は効きません。

    薬の話 その4
  • 薬の話 その3

    2018年 8月 2日

    誰もが一度ならず罹る病気は何と言っても風邪でしょう。そのほとんどの原因はウイルスです。ウイルスは細菌ではないので、細菌を殺したり増殖を抑える抗菌薬は効きません。だから風邪薬には抗菌薬は含まれていません。風邪薬は風邪ウイルスを殺したり抑えたりするのではなく、ウイルスと闘う体の反応として起きる発熱や鼻詰まり、ノドの痛みや咳などの風邪症状を和らげるための薬です。今のところ風邪ウイルスを殺したり抑えたりする薬はありません。抑えるのは私たちの体に備わった防御力、つまり免疫力です。

    薬の話 その3
  • 薬の話 その2

    2018年 7月 21日

    齢を取るにつれ高血圧や糖尿病、腰や膝の関節症など、色んな慢性病が重なって、70歳ともなると6~7種類以上もの薬を飲んでいる人が少なくありません。多種類の薬の相互作用で、例えばふらついて転倒しやすくなるとか、認知機能が低下するなど、思わぬ副作用が起きることもあります。しかもそんな副作用が薬のせいだと、本人も、時には薬を処方した医師さえも気付かないで、副作用による症状を抑えるために、さらに薬を増やすという、「屋上屋を重ねる」危ない事例も見られます。

    薬の話 その2
  • 薬の話 その1

    2018年 6月 26日

     日本人は薬好きです。医師も必要以上に薬を処方する傾向があるようです。50歳を超える頃になると色んな病気に罹りやすくなりますし、耳鳴りがする、目まいがする、しんどい、眠れない、などの症状も起きやすくなります。それぞれの病気や症状に対して医師に薬を処方してもらったり、薬局で薬を買い求めたりして、つい薬の量も種類も増えてしまいがち。

    薬の話 その1
  • むずむず脚症候群

    2018年 5月 16日

     重い病気ではありませんが、このせいで眠りを妨げられて不眠症に陥ったり、悩ましいのがこの病気、「むずむず脚(あし)症候群」。治療を受けずに我慢している人が多いので実態はよく分かっていませんが、珍しい病気ではなく、2、30人に1人が罹っているといわれます。どんな症状かというと・・・、

    むずむず脚症候群
  • 朝食抜き

    2018年 4月 27日

    朝食抜きで出勤する人は多いようです。特に共働きの主婦。夫と子供に朝食を用意して食べさせた後、それぞれ勤務へ学校へと送り出し、自分は食べる暇なく、お化粧をして髪を整えるのもそこそこに家を飛び出して・・・という生活。一方、残業で帰宅が夜更けになり、夕食が遅いせいで翌朝はお腹がもたれて食べられないという男性もいます。いろんな事情があるにせよ、朝食抜きにはご用心。そのわけは・・・、

    朝食抜き
  • 花粉症

    2018年 4月 20日

    スギ花粉の飛散がやっと下火にと思ったら、続いてブタクサやイネの花粉が飛ぶ季節。春爛漫の陽気も花粉症の人はさぞ鬱陶しいことでしょう。昔は杉並木の名所、日光街道辺りでも花粉症は滅多になかったといいますのに、今や日本人の5、6人に1人が鼻詰まり、鼻水ポタポタ、眼クシャクシャという蔓延ぶり。

    花粉症
  • あがり症

    2018年 3月 26日

     神経の細やかな人、取り分け若い人では、大勢の人の前で改まって話したり、意見を述べなければならないようなとき、緊張して声が上ずったり震えたり、しどろもどろになってしまうことがありますね。「あがる」という状態です。よくあがるようなら「あがり症」と、ちょっとした病気扱いされたりもします。近頃は反対に物おじしない人が増えているようですが、それでも日本人はどちらかというとまだ内向的、恥ずかしがり屋で不安を感じやすく、あがり症の人は少なくないようです。

    あがり症
  • コーヒーの効用

    2018年 3月 12日

     日に2、3杯のコーヒーは欠かせない、という人は多いですね。コーヒーに敏感な人では動悸を感じたり、血圧が普段より高くなったり、眠る前に飲むと寝つきが悪くなるということもありますが、日に3杯程度なら、飲む方が飲まないよりも健康に良いと考えられています。
    最近イギリスで行われた信頼の置ける研究では、日にコーヒーを3杯飲む集団では、それほど飲まない集団に比べて死亡するリスクが17%小さく、心臓病や脳血管病による死亡に限ると、いずれも19%も低いという結果でした。一方、日に3杯以上飲む集団では、健康への害はなかったものの、はっきりした効用も認められなかったということです。

    コーヒーの効用
  • 歯のシリーズ その4 「酸蝕歯」

    2018年 2月 23日

     歯がしみたり痛んだりする虫歯の仲間に「酸蝕歯」があります。聞きなれないかも知れませんが、実際はかなり多い歯の病気です。酸性の食品や飲料、特にみかん、グレープフルーツなどの柑橘類とその飲料、炭酸飲料やスポーツ飲料、黒酢ドリンク、御酢などを度々飲食し、その後の後始末(デンタルケア)が悪いと起こります。

  • 歯のシリーズ その3「ブリッジ」

    2018年 2月 14日

     歯周病や虫歯などで歯を失うと噛む力が弱くなりますので、ブリッジという治療が行われることがあります。失った歯の両隣の歯を2~3本、大きく削って支えにし、ブリッジ(連結橋)を架けて固定するのです。簡便で良い方法なのですが、両隣の歯の、歯を守るのに大切なエナメル質も大きく削り取らなければならないのが難点です。だから歯科医によく相談して、納得した上でこの治療を受けることが大切です。

  • 歯のシリーズ その2 「歯周病」

    2018年 2月 8日

     こんな症状はありませんか。朝起きた時、口の中がネバネバする、硬い食べ物が噛みにくい、歯と歯の間の隙間に食べ物のカスが詰まりやすい、歯ぐきが痛いとかむずがゆい、歯ぐきが赤く腫れる、歯ぐきが痩せて歯が長く見える、歯が少しぐらつく、歯磨きすると血が出る、口臭が気になる、など。こんな症状の原因は歯周病です。慢性化して歯ぐきから膿が出るほどになると、歯槽膿漏とも呼ばれます。 

    歯のシリーズ その2 「歯周病」
  • 歯のシリーズ その1 「8020運動」

    2018年 2月 1日

     当然のことですが、私たちは口から食べ物を摂って生きています。食べ物は消化されて胃や腸から吸収され、栄養となるわけです。消化は食べ物を咀嚼すること、つまり歯で噛み砕くことから始まります。歯の数が少なくなると、自分の歯で食べる楽しみが損なわれるだけでなく、咀嚼が不十分になって胃に負担がかかり、そればかりか認知症にもなりやすいことが明らかになっています。

  • 腰を鍛える腰痛体操

    2018年 1月 18日

    薬で治らない腰痛を良くするには、腰の主力筋(コアマッスル)を鍛える体操が効果的だと言われます。以下は札幌医大整形外科・山下敏彦教授お勧めの方法です。
    ① 腸腰筋ストレッチ(日に3~5セット):片膝立ちになり、他方の脚を後ろに伸ばします。→後ろ脚の股関節を前に押し出すようにお尻を前に突き出します。→10秒間そのまま。→元の姿勢に戻り、→左右を替えて、同様に繰り返します。

  • 断ち切ろう!腰痛の悪循環

    2018年 1月 10日

     多くの動物が4本の足で体を支えているのに、人間は2本足。4つ足動物なら前足で支える上半身の重みと、体の割に他の動物より大きい頭の重みも足腰にかかります。時には重い物を持ったり背負ったりもしますから、なおさら腰痛が起きやすいわけで、腰痛は云わば2本足の宿命みたいなものです。だから世の中には腰痛に悩む人はとても多く、整形外科の外来では大勢の腰痛患者で日々大忙しです。

    断ち切ろう!腰痛の悪循環
  • 無理する2本足

    2017年 12月 25日

     陸上動物は概ね4本足です。太古の原始魚類から長い年月をかけて、胸ビレ一対が前足2本に、腹ビレ一対が後ろ足2本に進化して4本足になり、陸上で暮らせるようになったのが、多くの両生類と哺乳類です。ところが人間は珍しく2本足。カメラの三脚や鼎(かなえ)を見ても分かるように、物体を安定して支えるには3本以上の足が必要です。どうして人間は不安定な2本足で体を支えることになったのでしょう。

    無理する2本足
  • 男性更年期

    2017年 12月 18日

     多忙な50歳前後の男性で次のような症状が幾つかあれば、ひょっとしたら男性更年期かも。気分が落ち込み集中力がない、不安感が強い、イライラし怒りっぽい、眠れない、胃が重く食欲がない、便秘や下痢を繰り返す、よく頭痛・耳鳴り・目まいがする、汗をよくかく、よくノドが渇く、性欲減退、ED(勃起障害)、酒・タバコが増えた・・・。
    症状は女性の更年期に似ています。原因は男性ホルモン(テストステロン)の低下とも云われますが、ストレスで悪化して、時にはうつ病にまで進むこともあります。閉経という節目がある女性では、「更年期かも」と気付きやすいのですが、男性ではそれと分からないまま、不調を抱えてうっとおしく過ごす人もいるようです。

    男性更年期
  • 血糖値スパイク

    2017年 12月 5日

    「健診で血糖値が正常だったから」と安心して、毎日好きなだけ食べて運動はあまり、という人、少なくありませんね。こんな人、中でも太っている人、アルコールなしで過ごせない人は糖尿病に油断は禁物です。
    健康な人の空腹時血糖値は70から110mg/dlで、食後でも140mg/dlを超えることはまずありません。そして2、3時間もすれば食前の値に戻ります。ところが空腹時の値が正常でも、食後に急上昇して140mg/dlを超えることがあれば、これは「血糖値スパイク」です。日本人の凡そ15%が知らないうちにスパイク、つまり糖尿病一歩手前の状態だということです。

  • 糖尿病という国民病

    2017年 11月 29日

     膵臓のベータ細胞で作られるインスリンが少なすぎて起きる病気、糖尿病。
    アジア人の膵臓が作るインスリン量は白人の半分位だそうです。白人に比べてアジア人は太った人は少ないですが、胴回り(ウエスト周囲径)が同じでも内臓脂肪が多く、糖尿病の人の割合が高い傾向があります。日本人はほぼ10人強に1人の約1千万人、お隣の中国では1億人近い人が糖尿病だそうです。

    糖尿病という国民病
  • 糖尿病の人の食事

    2017年 11月 22日

     国民10人に1人以上が罹っているという糖尿病。血糖値が高くなって動脈硬化が進み、腎臓病や心臓病が起きやすい病気です。血糖(血液中のブドウ糖)の元はご飯やパン、麺類やお菓子など糖質の食物です。だから糖質食を減らせば血糖値が下がる理屈で、普通は日に200~300㌘摂る糖質を100㌘辺りまで減らすように指導する医師もいます。このような糖質制限食が糖尿病に効果があるという研究報告もあるのですが、日本糖尿病学会ではこれを勧めてはいません。なぜでしょうか。

  • 卵とコレステロール

    2017年 11月 15日

     卵にはコレステロールが多いのであまり食べない方が良い、と信じている人がまだ多いようです。ところがこれ、ちょっと違うのです。血液中のコレステロールの7、8割は肝臓で作られ、腸から吸収される食物中のコレステロールはせいぜい20%程度です。その上、食物中のコレステロールを沢山食べると、肝臓で作られるコレステロールの量が減ってバランスを取るという体の仕組みがあって、コレステロールの多い食物を沢山食べても、血液中のコレステロールがそのまま増えることはありません。

    卵とコレステロール
  • ご年配の方々向けの川柳集

    2017年 11月 9日

     先立って卒後ウン十年目の高校の同窓会に参加しました。その際、1人の旧友から川柳が披露されました。面白いやら侘しいやらの名作揃い、おすそ分け致します。
    やがてはわが身と身につまされて、思わず膝を打つご年配の方もいらっしゃるのでは?

  • 効き目はどうか、「けっぴたし」 (或る新聞記事から)

    2017年 10月 31日

     仏頼みをしたくなるほどつらいからか、ヤマイダレに寺と書くお尻の病気、「じ」。
    これに悩んだ人は昔から数知れず、英雄ナポレオンはその痛みで指揮が鈍ってワーテルローの戦いに敗れ、宗教改革者ルターはトイレで痔を労わりながら聖書を読んでいたとか・・・。
    男女の愛憎と葛藤を描く夏目漱石の名作「明暗」では、主人公が痔の治療をしているところから始まりますし、そう言えば漱石の友人、正岡子規も歩くのもつらいほどだったそうで、漱石への手紙ではその悩みを縷々打ち明けています。

    効き目はどうか、「けっぴたし」 (或る新聞記事から)
  • 目の健康 その3

    2017年 10月 26日

     「アムスラーチャート」という目の検査。これは眼科でなくても、方眼紙があれば自分で簡単に検査ができます。方眼紙の真ん中に印を付け、30㌢程離れた距離から片目ずつその印を眺めます。もし方眼紙の線が歪んだり欠けて見えれば、視点の中心を見る黄斑に加齢黄斑変性症などの病気が起こっている恐れがあります。視力が落ちる前に早期発見できることがありますので、特に年配の方は試してみてください。

  • 目の健康 その2

    2017年 10月 24日

     色んな病気で眼底出血も起こります。糖尿病もその一つ。罹って数年以上経つと糖尿病性網膜症が起きやすくなります。初期には視力は落ちず不自由を感じませんが、視力障害に気付いた時にはかなり重症化していることがあります。高血糖の人や糖尿病と言われた人は、症状がなくても眼科でチェックを受けることが大切です。

  • 目の健康 その1

    2017年 10月 10日

    10月10日は「目の愛護デー」。高齢化で目の病気も増えています。他の病気同様、早期発見・早期治療が大切です。
    そこでまず白内障。一番の原因は加齢ですが、紫外線も影響します。
    強い日差しを避けるため、戸外では帽子やサングラスがお勧めです。つば付きの帽子なら、横からの紫外線をかなり遮ることできます。濃い色のサングラスを掛けると瞳孔が開き、紫外線が却って多く目に入るのでご用心。

  • 中年女性の困った病気

    2017年 10月 2日

     ある女医さんから聞いた話。
    ・・・私は医者ですが、患者としての経験も多くて、胸腺腫、重症筋無力症、子宮内膜症、子宮筋腫からの大出血など、病院にはずい分お世話になりました。
    中でも私を一番悩ませたのは、48歳の初夏に起きた病気でした。

  • 滑舌

    2017年 9月 22日

     滑舌とは元々放送業界の言葉で、聞き取りやすくはっきり発音するために舌や唇を滑らかに動かすこと、という意味です。会議や話し合いの場で、滑舌が悪く聞き取りにくい発音をする人が時々いますね。耳の遠い年配の方々も多い高齢化社会ですから、自分の意思を聞き手に十分伝えるには、まず滑舌を良くすることが大切です。
     そこで滑舌を良くするための簡単なトレーニング法をご紹介しましょう。といっても実は今年の3月9日付読売新聞に載っていた記事の受け売りしですが。 

  • タバコにまつわる話 その4

    2017年 9月 14日

    タバコ関連病、つまりタバコのせいで起こったり悪くなる病気で亡くなる人は、国内で年間凡そ10万人。タバコ関連病は肺がんに限りません。
    のどや胃、大腸その他の部位にできるがんとか、慢性気管支炎・気管支拡張症・肺気腫などの肺の病気、狭心症・心筋梗塞・心房細動などの心臓病、そして脳梗塞や動脈硬化性認知症に下肢動脈閉塞症、さらに歯では歯周病、目では黄斑変性症、女性では流産・早産・死産…と数え上げればキリがありません。
    子供の学校の成績が良くないのでさえ、その子の妊娠中にお母さんがタバコを吸っていたせいか、とも言われます。

    タバコにまつわる話 その4
  • タバコにまつわる話 その3

    2017年 9月 4日

    福沢諭吉のような偉い人でも、一旦タバコの味を覚えると、生涯タバコを手放せませんでした。福翁に限らず多くの人格者が健康に良くないと知りながら、なぜタバコが欲しくて仕方がなくなるのでしょう。重い病気に罹っても、なお止められない人もいます。
    その訳は、その人の脳はニコチンが切れるとまともに働けなくなってしまっていて、そのイライラや不安感は、一服吸ってやっと吸わない人と同じ程度に落ち着くからだと考えられています。

  • タバコにまつわる話 その2

    2017年 8月 22日

     1万円札の顔、「学問ノススメ」などで知られる福沢諭吉。かなりのヘビースモーカーだったようです。
    咸臨丸で初めて渡米した万延元年(1860年)、ホテルで接待された時のこと。ちょっと一服、とストーブでタバコに火を付けました。灰皿がないので吸い殻は懐紙で丁寧にもみ消し、くるんでそのまま袂(たもと)に。しばらくして「また一服」と思ったその時、「袂から煙が出ている。何ぞ図らん。よく消したと思ったその吸い殻の火が、紙に移って煙が出てきたとは大いに肝を潰した」(福翁自伝)とのこと。
    お札ではすまし顔の福翁が、慌てふためいて袂を叩いたかと思うと、面白いですね。

  • タバコにまつわる話

    2017年 8月 9日

    1904年(明治37年)、国の歳入を増やす方策の一つとして、煙草専売法が施行されました。そして本居宣長の 「敷島の大和ごころを人問わば、朝日に匂う山さくら花・・・」 という歌から名付けた官製たばこ、「敷島」、「大和」、「朝日」などが登場しました。
    それまでの民営タバコに比べて実質値上げでしたから、当時のタバコ好き庶民は 「値も高き公(おおやけ)煙草くゆらせば、煙の末に曽禰(そね)の顔見ゆ」 と口ずさんで憂さを晴らしたといいます。当時の蔵相・曽禰荒助に向けた恨み節でした。

  • 滋賀県が日本一!

    2017年 7月 31日

    都道府県別に見て滋賀県が日本一なのは琵琶湖の広さとお寺の数だけかと思ったら、他にも嬉しい日本一がありました。
    東京大学や米国ワシントン大学などの共同研究によると、2015年の滋賀県民の平均寿命は84.7歳、人の助けを借りず元気で過ごせる健康寿命も75.3歳で、いずれも都道府県中トップだったそうです。

    滋賀県が日本一!
  • 暑熱順化

    2017年 7月 24日

    毎日暑いことですね。気象庁のデータでは、日本列島は年々確実に暑くなっているそうです。例えば東京の2015年以前の5年間の平均猛暑日数(気温35℃以上)はその前の5年間の1.6倍で、2000年までの5年間と比べると4.2倍にも増えているそうです。
    最近では気温が37~38℃と体温を上回る日も珍しくなくなりました。

  • 伊能忠敬、つづきのつづき

    2017年 7月 14日

    伊能忠敬は当時としては長命で74歳まで生きましたが、高血圧はなかったようです。
    前にも記したように、隠居の身の55歳になってからほぼ地球一周分、4万㌔を踏破し、時には日に40㌔以上も急ぎ足で歩いたそうです。
    日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」でも、運動には血圧を下げる大きな効果があるとされています。

  • 伊能忠敬、 つづき

    2017年 7月 7日

    人間の体には、歩きなどの運動の刺激で筋肉が作られる仕組みが備わっています。
    筋肉は常に分解と合成が繰り返されています。筋肉の材料はタンパク質ですが、食べたタンパク質は肝臓でアミノ酸に分解され、血液の流れに乗って筋肉に届けられ、これを材料に新しい筋肉が合成されます。
    古くなった筋肉はクレアチニン、尿素窒素、尿酸などの老廃物となって尿中に排泄されます。

  • 伊能忠敬

    2017年 6月 27日

     車や電車や高速道路もなかった江戸時代、日本中を歩いて日本地図「大日本沿海輿地全図」を完成した人、伊能忠敬。
    平均寿命が30歳台だった時代に、地図作りを目指して歩き始めたのは既に隠居の身、55歳でした。それから17年間も、10回にわたって北海道から九州まで測量行脚を続け、歩いた距離はなんと地球一周相当のほぼ4万㌔。日に40㌔以上も急いで歩くこともあったそうですからびっくりです。

  • 或る日のテレビ番組、「試してガッテン!」から

    2017年 6月 23日

    この番組を覚えておいでの方もいらっしゃるでしょう。「免疫力を高め、血管の老化を防ぎ、筋肉を増やしてロコモも防ぎ、体を丸ごと強化して、要介護にならないようにしよう!」という趣旨の番組でした。人間は雑食動物です。雑食が健康のモトです。つまり多くの種類の食べ物を万遍よく食べるのが「体を丸ごと強化する」カギだといえます。
    この番組では、食品を10の食品群に分けて、「10食品群シート」と名付けた表を作り、食べた食品群に〇印を付け、バランス良く栄養を取れているかどうかをチェックしよう!と勧めていました。

  • 運転寿命

    2017年 6月 14日

    高齢者の交通事故がしばしば報じられています。このほど高齢ドライバーの認知症対策を強化する「改正道路交通法」がスタートしました。
    75歳以上の運転者は、免許更新時の「認知機能検査」で認知症の恐れありと判断されると、医師の診断を受けなければなりません。そこで認知症と診断されると免許停止・取り消し処分となります。

  • ロコモ その4

    2017年 5月 30日

     シリーズの締めとして、日本整形外科学会が勧めているロコモ防止のためのトレーニング、「ロコトレ」をご紹介しましょう。ロコモのケがある人、やってみて!

  • ロコモ その3

    2017年 5月 17日

    さて、あなたにロコモのケがあるかどうか、ご自身でチェックしてみましょう。
    以下の7項目の一つでも当てはまると、ロコモか、或いは間もなくロコモかのどっちかです。

  • ちょっと一服して、お笑いを一席

    2017年 5月 2日

    パソコンで字を打つと、時には変な変換間違いが出てきて、思わずびっくりすることが・・・。
    例えば、「田舎に帰る」 とキーを打ったつもりが「胃中に蛙」とか、「海外に住み始めました」が「貝が胃に棲み始めました」と出ると、ちょっと不気味。そして、「見に来てくれて嬉しいよ」 が 「ミニ着てくれて嬉しいよ」 となると、何かエッチっぽいですね。
    また、「うちの子は耳下腺炎です」のつもりが、「うちの娘は時価千円です」となって思わず笑ってしまったり、「式は止めにしましょう」が 「死期早めにしましょう」、とか、 「胃角部には潰瘍の所見があります」が 「胃各部に破壊様の所見があります」 となってギョッとすることも。

  • ロコモ その2

    2017年 4月 13日

     我が国は世界屈指の長寿社会。男女とも平均寿命は80歳を超えています。しかしめでたいのは健康で生きながらえてこそ。めでたくないことの一つは、足腰の具合が悪く、立ったり歩いたりするのが難儀な、ロコモのお年寄りが大変増えていることです。10年間も故障せずに走れる車は稀ですし、動かない家でも築後50年も経てば「ガタ」が来るものです。まして生身の人間は、50年も動けば足腰に「ガタ」が来て当たり前。

  • ロコモ

    2017年 4月 6日

    ご存じのことでしょうが、「モロコ」(諸魚)や「ころも」(衣)の言い間違いではありません。
    コンビニエンスストアをコンビニと呼ぶように、「ロコモ」はロコモティブシンドロームの略称です。
    「ロコ(loco)」とは「場所から場所へ」という意味で、「モティブ(motive)」は「動くこと」。シンドローム(syndrome)は「症候群」(似た病気の一群)なので、ロコモはつまり「体を移動させる働きが衰えた状態」だと言えるでしょう。

  • 花粉症 その3

    2017年 3月 14日

     前回、幼い頃に非衛生的な環境に育つと、アレルギー症に対する免疫力が高まるようだ、と書きました。これは「衛生仮説」と呼ばれています。壁や床を牛の糞で塗り固めた家が多いインドでは、花粉症などアレルギー症の人は稀だそうです。胃がんを起こす恐れがあるピロリ菌に感染した人は、アレルギー症に罹りにくいとも云われます。

  • 花粉症 その2

    2017年 2月 28日

     スギ花粉が飛ぶ季節がもう目の前。花粉症の人にとっては、うららかな春も鬱陶しい季節でしょう。花粉症は昔にはなく、割に新しい病気です。記録によると、日本で初めてのスギ花粉症患者は日光市に住む男性でした。1963年のことです。

  • 太った方にお勧め、「体重日記」

    2017年 2月 22日

     一般の方々の健康診断の結果を見ると、やはり太った人が多いな、と感じます。太り過ぎの人は高血圧や糖尿病、心臓病や脳卒中など、太っていない人より総じて病気にかかりやすく、短命です。そこでお勧めなのが「体重日記」。
    ちょっと面倒かもと思いますが健康のため、できれば起床時、朝食と夕食の直後、そして就寝直前(いずれも排尿後)に、日に4回体重を測りましょう。50㌘単位で目盛った体重計を使うと、ほぼ正確に測れます。

    太った方にお勧め、「体重日記」
  • 花粉症

    2017年 2月 13日

     例年、寒さが和らぐ3月初め頃からはスギ花粉が飛ぶ季節。花粉症の患者がドッと増えて、インフルエンザが収まった後でも内科や耳鼻科の先生方は大忙しです。
    くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻炎症状、目のかゆみに流涙、充血などの結膜炎症状、さらには体の熱っぽい感じとか体がけだるいとかの全身症状を訴える人も多く、軽症も含めると日本人のほぼ6人に1人がスギ花粉症で憂うつな春を過ごしています。

    花粉症
  • 亜鉛の話

    2017年 1月 24日

     最近、「食べ物がどうも美味しくない」「料理の味が変な感じ」など、味覚の異常を訴える人が少なくありません。亜鉛不足のせいかも知れません。実際、日本耳鼻科学会などによると、亜鉛不足で味覚障害を起こす人は年々増えているとのこと。早めに亜鉛剤を服用すると味覚が戻るのですが、半年以上放っておくと治りにくくなります。
     亜鉛は細胞が分裂する際に必要なミネラルです。舌や皮膚の細胞とか、赤血球や白血球など、入れ替わりが激しい細胞は、亜鉛が足りないと再生されにくくなり、肌がカサカサになったり、貧血、免疫力低下、精子の運動不足などが起きやすくなります。妊婦では、亜鉛が胎児の成長に使われて不足しやすく、流・早産の原因となることも。

    亜鉛の話
  • 抗生物質が効かない!

    2017年 1月 11日

     抗菌薬(抗生物質)が効かない細菌、薬剤耐性菌が増えています。
    どんな抗生薬も効かないという「スーパー抗菌薬」も世界で広がっているそうです。昨年8月に神戸で開かれた先進7か国(G7)保健相会合でも、国際的な主要問題として取り上げられました。
    このままでは世界で年間1千万人もが耐性菌感染で死亡するとも言われています。

  • 胃のポリープ

    2017年 1月 5日

     胃の集団検診を受けて、「胃にポリープがある」と言われる人は珍しくありません。
    これは胃の異常所見のなかで一番多く、受検者の5~10%が「ポリープ持ち」です。
    胃ポリープは、一般に胃の粘膜に生じる良性の(つまり、がんではない)イボ状隆起を指しています。過形成性、胃底腺、特殊型(炎症性、症候性、家族性)などの種類があり、中でも多いのが過形成性ポリープと胃底腺ポリープです。

  • 血圧の測り方

    2016年 12月 12日

     血圧が気になる方の多くは家庭用の電子血圧計をお持ちでしょう。
    折角計るのですから、正しく計って正しい値が出るようにしたいですね。それにはまず体も心もリラックスさせること。尿意や便意があると十分リラックスできません。
    計る前にトイレを済ませましょう。その上で椅子にゆったり座って、背筋を軽く伸ばし、数回ゆっくり深呼吸して心を落ち着かせます。歩いたりして体を動かした直後(10分~15分以内)に測るのもよくありません。

  • 高血圧 その3

    2016年 11月 17日

     日本人の1日平均食塩摂取量は約11㌘。これをずっと続けると1年間に収縮期血圧(心臓が収縮して血液を動脈に押し出す時の血圧)は0.6から0.7mmHg(㍉水銀柱)高くなります。僅かなようですが、例えば20歳の時に収縮期血圧が120mmHgの人も、70歳になると150から155mmHgに上昇するわけ。これは紛れもなく高血圧です。

  • 高血圧 その2

    2016年 11月 8日

     塩分を摂り過ぎると、どうして血圧が高くなるのでしょう。
    そのわけは・・・、前回述べましたように、凡そ3億年前、それまで海に棲んでいた人間の祖先は、陸に上がってくることに成功しました。
    腎臓内で進化した塩分のリサイクル装置によって、血液中の塩分濃度(正確に言うと、血液の浸透圧)を常に一定に保てるようになったからです。

  • 高血圧

    2016年 10月 31日

     最高血圧140mmHg(㍉水銀柱)以上、或いは最低血圧90mmHg以上なら高血圧。これが日本人に最も多い病気です。
    中高年男性の4割前後、女性では3割強が高血圧か、或いは血圧を下げる薬を飲んでいる人たちです。
    がんに次ぐ死亡順位第2位の心臓病や第3位の脳卒中の主な原因は高血圧ですから、高血圧はがんに並ぶ国民病と言えるでしょう。
    そしてその最大の原因は、塩分の取り過ぎです。

  • はしか

    2016年 10月 14日

     正式には「麻疹」と呼ばれる「はしか」、最近これが大阪を中心にポツポツと患者が出ています。
    患者との接触や咳・くしゃみの飛沫ばかりでなく、麻疹ウイルスが浮遊する空気を吸っての感染もあり、感染力が非常に強い伝染病です。
    罹ると発疹や高熱が出たり、肺炎や脳炎などの合併症が起きて重症化することもあります。
    だからはしかの患者を診た医師は保健所に届け出なければならないことになっています。

    はしか
  • 働く人のがん

    2016年 10月 11日

     一生のうちほぼ2人に1人ががんに罹るという今の時代。40歳の人が60歳までにがんに罹る率は男性で7%、女性で9%だそうです。
    しかし健診による早期診断が増え治療法も進歩してきましたので、がんと診断されてから5年以上生きる人の割合は、60%近くにもなっています。
    最早がんは必ずしも死の病ではなく、長く付き合う慢性病となってきているのです。現にがんを抱えながら働く人も珍しくありません。 

  • 女性のがん 「子宮頸がん」について その2

    2016年 9月 20日

     子宮頚がんはほぼ100%、HPV(ヒューマンパピローマウイルス)に感染して起こります。
    性体験のある大抵の女性はHPVに感染していますので、誰しも子宮頸がんにかかる可能性はあるわけです。
    HPVには多くの種類がありますが、子宮頸がんの半分以上は、このうちHPV16型か18型の感染が原因です。

  • 女性のがん 「子宮頸がん」について

    2016年 9月 14日

     今、20歳代後半から30歳代にかけて、子宮頸がんが急増しています。
    子宮には胎児を宿す子宮体部と、子宮入り口の頸部とがあり、どちらにもがんが生じることがありますが、そのほとんどは頸部にできる頸がんです。
    この年頃の女性では、頸がんがすべてのがんの中で最も多く、年間千人にほぼ1人が発症していて、乳がんの3倍以上の多さです。
    女性全体では年に約1万5千人もの人が罹っています。

    女性のがん 「子宮頸がん」について
  • 乳がんについて その2

    2016年 9月 1日

     乳がんに罹る女性が増えています。晩婚化と少子化が進むにつれ、今後もますま
    す増えるとの予想です。どんな人が比較的罹りやすいかというと、未婚の人、子供を産んだことがない人、40歳以上で初めて出産した人、初潮が早く始まった人、閉経が遅い人、閉経後に女性ホルモン補充療法(HRT)を受けている人、閉経後に体が太ってきた人、お酒類を多く飲む人、そして血族に乳がんに罹った人がいる人、などです。

  • 乳がんについて その1

    2016年 8月 31日

     乳がんと診断される人は,年間ほぼ9万人。40歳から50歳代の女性に特に多く、発生率はこの20年間で約2倍になりました。
    一生の間に乳がんに罹るのは、今では女性12人に1人程度ですが、今後は益々増えるとの見通しです。

  • 「熱中症」 その4

    2016年 8月 22日

     最後に予防について。暑い季節に大切なのは第一に水分、次いで塩分の補給です。ジュースや麦茶でも結構です。
    当然ながら暑すぎる環境に長居したり、炎天下や高温多湿の環境で激しい運動をしたり、通気性の乏しい作業服で肉体労働を続けるのは危険です。
    歳を取ると体の抵抗力は衰えますし、糖尿病や高血圧などの持病があると熱中症が重症化しやすいので、高齢者は特に気を付けなければなりません。

    「熱中症」 その4
  • 「熱中症」 その3

    2016年 8月 19日

     熱中症かと思える症状があり、特に体温が高ければ、まず体を冷やすこと。
    風通しの良い日陰や屋内で、衣服を脱がせて霧吹きで体に水を吹き付けます。霧吹きがなければ水をかけて団扇で扇ぎ、扇風機があれば回します。
    体を風に曝して、皮膚に吹き付けた水滴の気化を促すのです。クーラーを利かせばなお良いでしょう。その上で水を飲ませます。できれば水だけでなく、お茶と味噌汁、お吸い物、スープなどで、水分と電解質の両方を補給します。

  • 「熱中症」 その2

    2016年 8月 10日

     健康な人の体温は人によって多少の違いはあるものの、体表面の温度はほぼ36度台に、体内温度(深部温度、直腸温度)は37℃台に厳密に調節されていて、これから外れると病気です。高温環境では、自律神経の働きで皮下の毛細血管が拡張し、余分な体熱を外気に放散します。同時に汗が沢山出て、汗が蒸発する際の気化熱で体を冷やし、体温上昇を防ぎます。

  • 「熱中症」 その1

    2016年 8月 5日

     熱中症がよく起きる季節です。たかが暑気あたり、と軽く見てはいけません。重い熱中症では死亡率は30%以上にもなるのです。激しい運動や炎天下での仕事で起きるだけでなく、家の中にいるお年寄りが倒れる例も増えています。地球の温暖化に加えて、都会ではヒートアイランド現象がよく起きますし、冷房を不快に感じるお年寄りは割に多く、汗を出す汗腺が減っているうえ、暑さの感じ方が鈍っていることもあって、冷房せずに我慢することがよくあるからです。冷房をうまく使うことが大切です。

    「熱中症」 その1
  • 休養、その8  「笑いと危機管理(日医ニュース第1111号より)」

    2016年 8月 2日

     以前に記した立川らく朝の噺をもう少し医学的に書いた記事(日医ニュース1111号)をご紹
    介しましょう。笑いが健康に良いわけを説明したものです。多少理屈っぽいですが。
     ・・・ワッハッハッやウッフッフ、「笑いは百薬の長」とか「笑う門には福来る」と言われます。
    笑いは本来、危険から逃れた時の安堵感、幸福感の表れだそうです。人は怖い目、危ない目に遭うと、副腎からアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンといったストレスに対抗するホルモンが出ます。これが交感神経に働いて、大出血しないように血管が細くなり、血液は血が止まりやすいように粘り気が増して、心臓の鼓動も速く打ち、体が戦闘モードに入ります。

  • 休養、その7 「笑い」のそのまたつづき3

    2016年 7月 22日

     耳にしたことをすぐ理解しなければ、笑うことはできませんよね。つまり笑えるということは、物事に対する的確な判断力、つまり高い認知能力を持っているということです。40歳を超えると、一般に笑う頻度が齢とともに減ってきます。娘さんとお婆さんのどちらがよく笑うか、考えてみてください。或る研究によると、ほとんど笑わない人は、毎日笑う人の3~4倍も認知症にかかりやすく、笑う頻度が低い人ほど認知機能が低下する傾向があったそうです。そういえば、認知症のお年寄りは笑いませんね。

  • 休養、その6 「笑い」のつづき2

    2016年 7月 8日

     知り合いに立川らく朝という医者兼噺家がいます。慶大の落語学部医学科卒というほどの落語好き。医業の傍ら立川談志に弟子入りし、東京の高座でなかなか好い噺を聞かせています。医者だからネタの大半は健康問題。その一端をお伝えします。

  • 休養、その5  「笑い」のつづき

    2016年 6月 29日

     笑いが病気の治療に有効だ、と自らの体験を踏まえて最初に報告したのはノーマン・カズンズさんというアメリカ人。1979年のことでした。カズンズさんは500人に1人しか治らないという難病、強直性脊椎炎に罹りましたが、治療に笑いを取り入れ、数か月後には奇跡的に復職できるまでに回復しました。この報告があってから、楽しく笑うと病気の痛みが確かに和らぐという数々の事実が明らかになってきました。

    休養、その5  「笑い」のつづき
  • 休養、その4 「笑い」

    2016年 6月 23日

     睡眠は脳も含めた体の休養です。それなら心の休養は?というと、その第一は笑うこと。笑うことが健康に良いというのは、医学的にも数々の研究や調査で確かめられています。
     「一回笑うと十年若返り、百回笑うと万福が来る」とは中国の諺です。糖尿病の人が笑えば血糖値が下がり、関節痛に悩むリウマチ患者では痛みを強めるホルモン様物質・インターロイキン6の血中濃度が低くなります。血液はサラサラになり脳の血管を流れる血液も増えます。花粉症やアトピーなどのアレルギー反応は抑えられ、がん細胞を殺すNK細胞の活性が高まって、がんが治った例も。つまり笑いで免疫力や自然治癒力が高まるわけ。

    休養、その4 「笑い」
  • 休養、その3 「睡眠」

    2016年 6月 17日

     なかなか寝付けない、夜中によく目を覚ます、そしてその後は頭が冴えて…など、眠りの悩みを抱えている人は多いですね。あなたはいかがですか? 心配事があったり、仕事のことが気になってとか、体のあちこちが痛んだり痒いなど、眠りを妨げる原因は様々ですが、よくあるのが「睡眠時無呼吸症候群」 と 「むずむず脚症候群」です。

    休養、その3 「睡眠」
  • 休養、その2 「睡眠」

    2016年 6月 7日

     快く眠るには寝具も重要です。まず眠るときは、立った姿勢をそのまま横にした形で眠るのが理想的だと言われます。このため体形に合わせて、硬さや大きさを変えたオーダーメードのマットレスが売られています。これはお尻や背中が沈みすぎるのを抑え、ウエスト部分は程よく沈み込ませて姿勢を保つ仕組みで、体にかかる圧力を均等に分散させて肩や腰の痛みや違和感を防ぎ、疲れを和らげるよう工夫されています。これで「極上の眠り」が得られるとか。

    休養、その2 「睡眠」
  • 休養、その1 「睡眠」

    2016年 5月 30日

     眠りに落ちる際には、体温がほぼ1度低くなります。この体温低下のスピード(低下勾配)が緩いと寝つきが悪くなるのです。つまり寝床に入って体温が順調に下がれば寝つきが良くなるというわけ。このため、温めの湯に20分程度入るとか体操をするとか、余裕があれば自宅の近くで2、30分歩くなどして、体温を1度ほど高めてから寝るようにすると、体温の勾配に落差がついて、スムースに眠りに入りやすくなるといわれます。

    休養、その1 「睡眠」
  • 甲状腺、知ってます?

    2016年 5月 25日

     5月25日は世界甲状腺デー。「甲状腺って、何?」と思う人も多いでしょう。のどの辺りにあって、体の活力(新陳代謝)を調節している器官です。甲状腺の働きが強すぎるとバセドー氏病などの甲状腺機能亢進症、働きが弱れば橋本病という甲状腺機能低下症。
     「フーン、そんなん私に関係ないわ」と言うのは、ちょっと待って!日本人の10人から20人に1人は甲状腺の異常があり、中年女性にはとりわけ多いといわれます。

    甲状腺、知ってます?
  • 運動、その4

    2016年 5月 16日

     足腰に特に問題のない人が、おカネと手間をかけずに健康を保つ一番の方法は、
    やはり歩くこと。誰しも忙しい時代ですから、「そんな暇あれへん!」と言う人が多い
    のは承知しています。ところが、日頃あまり体を動かしてない人は、よく動かしている
    人に比べて、中年以降に糖尿病や高血圧、心臓病といった生活習慣病にかかる割合が高く、
    平均して寿命が短くなることが分かっています。

    運動、その4
  • 運動、その3

    2016年 5月 9日

     前回に続いて、「歩くのが面倒」、「わざわざ歩く時間がない」とか、「足腰が痛くて・・・」などという方々に、「これなら、どう?」というご提案です。お薦めはまず「腰掛けタップダンス」。
     基本ステップは、まず「ボール」(爪先を床に付け)、次に「ヒール」(かかとを床に付け)、そして「スタンプ」(足の裏全体を床に付ける)というもの。椅子に座ってこれを左右交互に繰り返します。すり足のような動きが多いタップダンスとは違って、ステップはごく簡単。歩くのと同様、これなら一人でもできますし、これでウオーキングと同じ時間で同じくらいのカロリー消費(運動量)が期待できるといわれます。傍に迷惑がる人がいない時とか、遠慮の要らない自宅などでお試しください。
    できれば「上を向いて歩こう」や「ホワイトクリスマス」などの曲に合わせて、掛け声をかけてステップを踏むとよいでしょう。約1時間で1曲2~4分の曲を5曲ほど続けると、結構いい運動になります。これで足腰が鍛えられ、ゴルフのスコアもアップしたという人もいます。
    この他、一人でできる手頃な男性向きの運動として、ダンベル体操があります。女性には最近、フラダンスが結構人気です。このコラムは字数に限りがあって詳しい説明はできませんので、「やってみようか」という気持ちがあればネットで確かめてみてください。しかしどんな運動でもそうですが、続けないと健康増進の効果は望めません。念のため。

    運動、その3
  • 運動、その2

    2016年 5月 6日

     「歩いている暇なんかあれへん」、「歩くのはしんどくてイヤ!」という人に、歩かないで
    も楽に運動できるという、耳寄りなお知らせです。会社でも電車の中でも、貧乏ゆすりをする
    人が近くにいると、何となく気になってイライラ、落ち着きませんね。ところが最近、英国の
    研究者たちが、「貧乏ゆすりで死亡リスクを減らせる可能性がある」と妙な発表をしました。

    運動、その2
  • 運動 その1

    2016年 4月 5日

    日本人の多くは運動不足です。文科省の最近の統計では、20歳以上の成人で1年間に
    運動やスポーツを週3日以上行ったのは全体の20%足らず、週1、2日の人と月1~3日の人が20%少々、その他はほとんど「無動」同然という具合。運動は大切だ、ということは皆知っているはずなのに、思うだけで実行しない人が多いのが現実です。仕事が忙しくて家に帰り着くのは夜の9時、10時、という人も多いので、無理もないのですが…。

    運動 その1
  • 「ちょっと、一服」

    2016年 3月 28日

    医学的な話は役に立つかも知れないけれど、あまり面白くないかも。
    そこで栄養の話はちょっと一休みして、ここらで肩をほぐして、ひと笑いしてもらいましょう。私の友人の知りあいの、或る御仁の手になる年配者向けの川柳です。
    ひと笑いでなくにが笑いかも。


    ・「お齢です」 それが病気か田舎医者
     (「足腰痛む」「目がかすむ」「ど忘れひどい」。治せないこんな訴えに医者も一苦労。)

    ・深刻な 情報漏れより尿の漏れ
     (尿の勢いがない割に切れが悪い。力むと漏れる。コンピュータウイルスより深刻だ。)

    ・目には蚊を 耳には蝉を飼い続け  (目には蚊が飛ぶ飛蚊症、耳は遠くて耳鳴りも。)
     そして、次の名作は解説不要でしょう。

    ・メガネどこ? 携帯並みに鳴らしたい    ・名が出ない あれこれそれで用を足し

    ・立ち上がり 用事忘れてまた座り      ・何かをば 忘れたことに 覚えあり

    ・厚化粧 笑う亭主は 薄毛粧        ・つまずいて 足元何も ない哀れ

    ・目覚ましの ベルはまだかと起きて待つ   ・誕生日 ローソク吹けば立ちくらみ

    ・喜寿過ぎて 大器晩成 まだ成らず     ・どこで見る 東京五輪 天か地か

    ・ブラウザは どこの星座と訊く夫      ・デジカメは どんな亀かと母が訊く

    「ちょっと、一服」
  • 栄養その6 「隠れ肥満など」

    2016年 3月 22日

    「メタボ」という言葉は、小学生でも知っています。体格指数(BMI)が25以上で、お腹周りが太っていて、その上に血圧が高かったり、糖尿病や脂質異常のケがあれば、メタボ。日本人の数人に一人はこれに当たると言われます。
     しかし厄介なことに、BMIが25未満でお腹周りもメタボの基準以下なのに、メタボの人と同様に高血圧症や糖尿病や脂質異常症になりやすいという、いわば「隠れメタボ」の人が全国で900万人以上にも上ることが最近分かりました。メタボと隠れメタボの人は、そうでない人に比べて心臓病を起こすリスクがそれぞれ1.45倍、1.23倍も高いそうです。

    栄養その6 「隠れ肥満など」
  • 栄養その5 「これさえ食べれば…」って?

    2016年 3月 17日

     最近はやりのトクホ(特定保健食品)やサプリメント(栄養補助食品)を愛用する人が増えています。しかしこれらの特定の健康食品に頼りすぎるのは、あまりお勧めできません。一時、ベータカロチンやビタミンEががんや心臓病の予防に効くと、もてはやされたことがありました。ところが臨床実験で確かめたところ、却ってリスクを高めるという結果が出て、「これさえあれば大丈夫」という幻想は消えました。

    栄養その5 「これさえ食べれば…」って?
  • 栄養その4 「塩分について」

    2016年 3月 8日

     塩分は血圧を高めるというのは承知しているけれど、「薄味の料理は物足らん」という方はまだまだ多いはず。1日に摂る食塩を6㌘に減らせば、高血圧の人がグンと減り、何と脳卒中をゼロにもできるのだそうです。

    ところが日本人が口にする食塩量は、以前より減ったものの、今もなお1日平均ほぼ11㌘。高血圧の人は今や4,300万人にも上り、病院や医院に受診する高血圧患者の数は、増勢著しい糖尿病を凌いで断然トップです。

     食塩中のナトリウム(Na)は、血管壁の細胞の中に入り込みます。細胞はNa濃度が一定でないと壊れるので、Na濃度が濃ければ、これを薄めるため水分が細胞に引き込まれ、細胞は膨らみます。細胞内にカルシウムイオンも増え、これが血管を収縮させて血管壁が厚くなります。このせいで血管の内腔が狭まって血流の抵抗が増し、血圧が高くなるのです。

    栄養その4 「塩分について」
  • 栄養、その3 「量とバランス」

    2016年 2月 16日

     お医者や保健師さんから「腹八分目に」とか、「栄養はバランスを考えて」とか言われたこと、ありませんか。でもおなかの中は見えませんから、腹の八分目とはどのくらい?と、もひとつ分かりにくいですね。「もうちょっと食べたいけど…」、と八分止まりを食事の都度強いられると、食い足りないという欲求不満で、却ってストレスが募りますね。

     でも食欲が旺盛なのは健康な証拠。腹一杯食べて結構。その代り、次の食事時には「腹減ったなぁ」と思えるほどに体を動かして、余分なカロリーを使い切ってしまうこと。腹があまり減らないままに次の食事、というのは食べ過ぎだという証拠です。食べ過ぎて余ったカロリーは、度重なるとメタボを生み、やがては心臓病や脳卒中を誘います。

    栄養、その3 「量とバランス」
  • 栄養その2 「朝飯抜き」

    2016年 2月 12日

  • 栄養 その1

    2016年 2月 5日

    こぶしを作って左腕を“エーィ!”と勢いよく前へ突き出し、すぐさま右腕を“ヨーゥ!”と上に突き上げます。
    何だか元気が湧いてくる気がしませんか?
    (左利きなら左右逆の方がしっくりするかも。)

    栄養 その1
  • 平均寿命と健康寿命

    2016年 1月 16日

    日本人の平均寿命は2013年には男性80.2歳、女性86.6歳と世界一。
    めでたいことです。
    しかし、人の助けなしに自由に振る舞える健康寿命はそれぞれ平均71.2歳と74.2歳ですから、その後の平均寿命までは、寝たきりや重病で苦しむつらい期間です。

    平均寿命と健康寿命
  • 風邪について

    2015年 12月 25日

    風邪をひきやすい季節になりました。インフルエンザワクチンの接種を受けた方も安心はできません。普通の風邪には効かないからです。細菌には効く抗生物質も、ウイルスが起こす風邪にはまったく無効です。何とか風邪をやり過ごす方法はないものでしょうか。
    日本呼吸器病学会が出している風邪についての医家向けガイドラインを、一般向けにアレンジして要点をご紹介しましょう。風邪を抑えて、この冬を元気に乗り切ってください。